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竹内麻巳SS倉庫

Canvas2というゲームで、美術部部長の竹内麻巳のSSを掲載していく予定です。

番外編その2

 猫以外全く描けない藤浪朋子も三年生となり、紆余曲折を経て任された部長職も何とか慣れてきた頃。
 月に2~3度くらいの頻度で撫子学園美術部に顔を出す麻巳が、店の手伝いもしたいからと今日に限って早めに帰宅し、それから更にしばらく経つと、その藤浪朋子が浩樹の指導を受けつつポツリと言った。
「竹内先輩と、ずいぶん仲が良いのね」
「ああ。何しろただならぬ関係だからな」
 無駄に格好付けて見せる浩樹。その様子から冗談にしか聞こえなかったものの、朋子は何となく落ち着かない気持ちになった。
「ふ、ふ~ん……。じゃあ、その……例えば、例えばよ。あたしとはどんな関係?」
 直接目を合わせないよう、筆を走らせながら問いかける朋子だが、無表情を装うその頬は僅かに赤い。
「顧問と部長だろ?」
 もちろん朴念仁代表の浩樹は、朋子の様子に全く気付かず、大して考えもせず気軽に答えた。
 相変わらずの反応は予想通り。昔のようにいちいち怒るほど子供でもないが、そうなった最大の理由は目の前の男に子供扱いされたくなかったから。朋子は内心、落ち着きのある前部長・田丸ひかりの姿を思い浮かべながら、小さく深呼吸をして筆を置く。
 顔面の熱は深呼吸とともに霧散し、それを密かに指先で触れて確認してから、改めて憎らしくも愛しい美術教師を見上げた。
「そういう事じゃなくて。個人としてよ」
「とりあえず大事な存在ではあるな」
 今度はやや真面目な顔で、数秒考えてからの言葉。せっかく引いた熱が、先ほど以上になって戻ってくる。
「え……。そっ、そんなこと誰にでも言ってるんじゃないの」
 見本としてイメージしていた田丸ひかりの姿も完全に消えてしまい、途端に素直じゃない言葉が飛び出す。
「そうでもないぞ。特別仲の良い相手にしか言わない」
 浩樹は、1年以上前のいつもプリプリしていた朋子の姿を思い出しながら苦笑した。
「特別って。た、例えば? 他には?」
 過剰反応して驚きと期待とに目を輝かせながら詰め寄る朋子に、浩樹は僅かにうろたえながらも脳内で答えを検索する。
「エリスとか、霧とか」
 とりあえず考えるまでもない、家族みたいな存在を二人上げてみる。
 しかし分かりきった名前だけでは物足りないようで、朋子は引き下がってくれなかった。さらに、と考え込む浩樹。
「後は、そうだな。柳も大事だぞ」
「……どうせ萩野先輩とか、美咲先輩とか誰も彼もなんでしょう」
 その口からこれ以上別の名前を聞きたくなくて、朋子はつっけんどんに言った。しかし浩樹は、アッサリと首を振って見せる。
「いや、その辺りは違うだろう。意味は色々だが、仲の良い生徒ってだけでそういう表現はしない」
「じゃあ、その……私が特別なの? エリスちゃんと同じくらいに?」
「どっちが上とか、そういうのは好きじゃないが……少なくとも、どっちかが俺の中で小さな存在という事は無いな」
 逆に大きいとも言っていないが、舞い上がった朋子はそこまで考えが及ばない。
 それより、エリスや霧を除けば最も確認しなければならない人間が残っている。勇気を振り絞って、それを尋ねてみることにした。
「じゃ、じゃあ、えっと、その……。た、竹内先輩とかは?」
「あいつは違うぞ。全然違う」
 強行に否定する姿に多少の違和感を感じたが、それより安堵する気持ちの方が強かった。
 麻巳については否定され、エリスや霧(オマケで柳)とは同列。望みはあると思っていい、かも知れない。可能性が大きいとまでは思わないが、無いわけではない。それだけでも十分だった。
「そ、そうなんだ……」
 朋子はぼんやりしながらも、再び絵筆を握った。しかし何を描くでもなく、天井を見つめながらボーッとしている。
「まあ、麻巳は『一番大切な存在』だからな。間違ってはいないだろう」
 聞こえようと聞こえなかろうと構わない、そんな浩樹の呟きは別世界に旅立ってしまった朋子には聞こえていなかった。
 彼自身の記憶にしても三分と経たずに霧散してしまい、朋子はそのまま勘違いを続けるのだが――。

 浩樹もまさか、これが元で後に大変な苦労をする羽目になるとは思ってもみなかった。
























少しでも楽しめたら、押してみてくれると作者が喜びます。





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テーマ:二次創作 - ジャンル:小説・文学

  1. 2008/11/12(水) 23:54:13|
  2. 中編

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