FC2ブログ

竹内麻巳SS倉庫

Canvas2というゲームで、美術部部長の竹内麻巳のSSを掲載していく予定です。

Chapter 6-5

 昼休みが終わって午後の一時限目は美術の授業が無く、霧の担当する体育の授業も無かった。
 そういうわけで、幼馴染三人が集まり思い出話に花を咲かせる。しかし話したい事の量に比べれば、時間もそれほど多いとはいえない。そんな中、柳は僅かに会話の途切れる瞬間を狙って控えめに尋ねた。
「それで浩樹、午前中はその……あんな感じだったけど」
 柳が言い辛そうに聞いてくるので、浩樹はわざと冗談めかして答えた。
「ああ、すまんな。ボーっとしてた」
「何よ浩樹、アンタまた仕事サボってたの?」
「またじゃない。たまたまだ」
「そんなこと言って、いつも自習ばかりって聞くわよ。部長さんも相変わらずカリカリしてるんじゃない?」
「そう、その部長さんの事が聞きたかったんだ」
 割って入った柳の積極さに顔を見合わせる浩樹と霧。昔は本当に自分から喋り出すことが無かったが――考えてみれば、厳しい世界に入って磨かれた大人の男性なのだ。いつまでもそのままのはずが無い。
 浩樹は我が事のように頼もしく感じながら、そういえばと朝のやりとりを思い出す。
「朝に約束してたな。悪い、午前中はボーっとしてたが、一応まだ部長の竹内は授業を受けてないぞ。アイツのクラスは午後で、今日の最後だ」
「そうなんだ。良かった……僕には誰が誰だか分からないからね」
 どうやら積極的なのは仲間内だけらしい。
「浩樹が自慢したくなるくらいの子なら、きっと凄いんだろうな」
 期待に満ちた瞳で柳が発した言葉に、浩樹は我が事のような気恥ずかしさを覚えた。
「ああ、そうね……。色んな意味で凄い娘よね。まず普通の意味でも間違いなく凄いんだけど」
 浩樹が答える前に、霧がしみじみと横槍を入れてくる。浩樹はすかさずツッコミをいれた。
「本人からすれば、お前にだけは言われたくないだろうけどな」
「どういう意味よ!?」
「武闘派としては一歩及ばず、ってところだろ」
「武闘派?」
 柳が疑問を口にすると、浩樹と霧は無言で視線を交わし、互いの意図を察して誤魔化し笑いを浮かべた。
 さすがに生徒の陰口のようなことは言えない。しかも、美術の特別講師に美術部部長の面白おかしい話など最悪過ぎる。
「いや、冗談だ。気にするな」
「そうそう、世の中には知らなくて良いことと、知ってはならないことがあるのよ」
「霧の場合は覚えられないだけだけどな」
「私は脳味噌まで筋肉じゃないっ!」
「誰もそんなこと言ってないだろ」
 二人の漫才染みたやりとりを脇で聞いていた柳は、懐かしさのあまり思わず笑ってしまった。
 ハッとして自分を振り返る二人に向けて、柳は言った。
「相変わらずで、なんだか嬉しいな。また親友に、幼馴染に戻れたみたいだ」
「戻りなんてしないさ」
「そうそう。私達は元々、ずっと仲良し三人組なんだから」
「周囲からは三馬鹿って言われてたけどな」
「……主にアンタのせいでしょ」
 ジト目で切り返す霧に、柳がすかさず言った。
「いや、その評価は霧ちゃんが主役だったと思うよ」
「うそーーっ!?」
 浩樹の言葉は疑うくせに柳の言うことは即信じる霧だが、それでも納得出来ずに絶叫した。
 二人だとどこかぎこちなかった空気が、彼女が加わるだけでこんなにも幸せばかりになってしまう。その事に感謝しながら――柳は自分の気持ちを再確認するのだった。



 一日の最後に、麻巳のクラスも美術の授業を受ける。――といっても選択した生徒に限られるが。
 授業はとりあえず特別講師の自己紹介から始るのだが、すでに何回か繰り返している柳は、この時にはもう大分慣れていた。
 そうして授業が本格的に始る。――と言っても柳は本職の講師ではない。各自、好きに絵を描いているところにアドバイスを行う形だ。これは麻巳が考えた授業形態だったりするが――もしも浩樹に全てを任せていた場合、どうなっていたかは考えるのも怖い。
「君は楽しそうに絵を描くね」
 他の生徒と同じ様に、適当な絵を描いていた麻巳は、背後に立った柳の言葉に落ち着いて答えた。
「最近まで悩んでいたんです。その反動でしょうか。今はただ描くことが、とても楽しいんです」
「うん、素質は良いものを持っていると思うよ。伸び方もいいし、まだまだ先がある。でも、何というか――今はバランスを欠いている様にも見えるね」
「……やっぱり、プロの方は凄いですね。分かってしまいますか」
 実際、麻巳は楽しく絵を描きつつも悩んでいた。
 復活の一枚――実家の喫茶店に飾られている絵なら、完成度はともかく誇れるものだと自分でも思う。しかし、その後はやる気のコントロールが上手くいかずにバランスを見失っていた。
 本人達は知る由も無いが、麻巳の状態はちょうどエリスのそれとよく似ている。
「僕に限らないよ。きっと上倉先生も気付いている。彼は優秀だから……」
「もしかして、知り合いなんですか?」
「幼馴染なんだ。君の事も色々と聞いたよ。前の時間に授業が入っていなかったからね」
 柳は言いながら思い出し――吹き出しそうになって、慌てて自らの口を塞ぐように手を当てた。
「な、何を聞いたんですか……?」
 麻巳は普段の自分の行いを思い出し、更に悪戯好き(特に麻巳に対して)な浩樹の性格を考えると、何を言われたか容易に想像出来てしまった。イーゼルを振り回す光景を脳裏に浮かべると、顔から火が出そうになる。
 そんな麻巳の百面相を優しげに見つめながら、柳は穏やかな口調で言った。
「色々と秘密も多そうな口ぶりだったけどね。変な話ではないよ」
「あの、その。具体的には……?」
「彼がここに赴任して早々に、尻尾を全力で振り回す子犬のような生徒が一人居た、という話かな」
「それは、た、大変な話ですね」
 思い切り視線を逸らしながら他人事を装う麻巳だったが、どうみても無駄な足掻きだ。最悪の話ではないが、ある意味それと同じくらいに他人に聞かれたくない話である。自分の若さゆえの過ちというものは――秒で忘れたい、忘れてもらいたい。可能なら事実ごと消してしまいたい。
 そんな麻巳の心情を知ってか知らずか、柳は深く追求せずに暗い表情で言った。
「あの頃の彼はね、ちょっと複雑な事情があって落ち込んでいたんだ」
 突然、優しげだった柳の雰囲気が重苦しいものに変わり、麻巳はどうしていいか分からず黙り込んでしまう。
 静かに聞き入っている麻巳に、柳は続けて言った。
「それなのに、そのはずなのに。あの頃の話を本当に楽しそうに、幸せそうに話していた。君が、彼を救ったんだと思うよ。そんな優しさは、いずれ君の絵にも現れるものだ。今はまだまだだけどね」
 最後には悪戯っぽく笑い、柳は話を締めくくって他の生徒の所へ向かった。それは逃げるような行為に思えたが、声をかけて呼び戻すのもまた躊躇われる。
 取り残された麻巳は、呆然と柳の背中を見つめながら考えた。
(私が優しい? 先生の……助けに?)
 それが自分の絵だと言われても実感が湧かない。しかし、それでも僅かに心に引っ掛かるものは感じた。



 放課後。
 最初だけ様子を見てから帰宅しようと考え、美術室に顔を見せた浩樹だったが、そこに見違えるほど血色の良い顔になったエリスが登校してきた。完全に部活のためだけの登校だが、浩樹にとって出てきてくれただけでも十分だった。
 正直なところ、柳のこともあり、浩樹はエリスの事をすっかり忘れていた。といっても他の何かに気を取られていたというより、脳がマトモに活動していない状態だったのだが。
「大丈夫なのか。今日は休んでも良かったんだぞ」
 美術室に直行してきたエリスに、心配して声をかけた浩樹だったが、
「もー、そんなに甘やかさないでいいのに。お兄ちゃんが朝もちゃんと起こしてくれないから……一日損しちゃった」
 どうもエリスは単に寝ていただけらしい。放置していたとはいえ放課後まで寝ているとは、さすがは上倉家が誇る寝ぼすけ大魔王である。
 元気な姿を見てホッとすると、浩樹は霧と柳と三人で飲みに行こうという話を思い出していた。先ほどの授業が無い時間にその話が出た時は、エリスが心配だからと断ったのだが。
「エリス、部活には出るってことでいいのか?」
「うん。画家さんの話を聞けなかったのは残念だけど……部活をしながら皆にお話だけでも聞きたいし」
「そうか、じゃあ俺は柳と霧と三人で飲みにいく。顧問としての接待だしな、一応ここに戻ってくるから待ってろよ」
「は~い。……って、ちょっと待って」
「うん?」
「柳、って――もしかして特別講師、あの柳さんなの!?」
「ああ。そういえば誰が来るか分かったのは今朝だったな。エリスが知らないのも無理は無いか」
「ますます残念……あ、そうだ。私もその飲み会に参加――」
「たわけ。教師が未成年を居酒屋に連れ込めるか」
「え~、お兄ちゃんのケチ~」
 その後もゴネるエリスだったが、浩樹は麻巳に何かあれば携帯電話へ連絡を入れるようにと頼み、逃げるように美術室を後にした。



 日が沈んで間もないというのに、寒風が身体の芯まで染み入ってくる。確かに冬も本番、太陽の恵みが去った頃には、いよいよ冬将軍も本気で攻め寄せる。しかし、旧交を温めあった彼らにとって、寒さはむしろ心地良くすらあった。
 ――エリスのことも心配で、それでも懐かしくて幸せで夢のような、ほんの短い時間。もう二度と無いかのように惜しむ気持ちがあって、浴びるように酒を飲んだ、その帰り。
 帰路に立ち寄った公園。そこで柳は全てを告白した。あえて霧の立ち会う、この場でだ。
 浩樹の絵を盗んだ事、そのまま何食わぬ顔でプロとしてやってきたこと。それを洗いざらい告白し、謝罪した柳に、浩樹も精一杯の言葉で応えた。
「お前は楽になりたいだけだろう。満足したとしても、そんなものはこの場だけだ。何も変わりやしない」
 柳の発表した全ての絵を見てきた。幼馴染として、親友として、好敵手として、長い間共に夢を見てきた。だからこそ、浩樹は柳がどんな人間かよく理解しているし、その気持ちが痛いほど分かった。
 清廉潔白、真面目で融通が利かないが、頼まれたら嫌とは言えない。いつも他人のことばかり気にして、一番身近な浩樹や霧が心配するくらいに自分の事は後回し。
 そんな人間が選んだ贖罪は、ただ描き続けることだった。柳は一番辛いことを選択したし、そのことは会わずとも作品を通して浩樹には伝わっていた。痛々しいまでの彼の心を既に許してもいた。
 だからこそだ、簡単に受け入れられない。納得できないわけではなく、行き着く先はと案じずにはいられなかった。
「お前の頑張りは分かってる。絵を見れば嫌でも伝わってくるさ。だがな、同時に他のことまで見えてしまうんだよ。お前が自分の絵を描かない限り、俺はお前の謝罪を受け入れる気は無い」
 柳は苦痛に耐えるように俯き、心配そうに見守る霧からは視線を逸らして、静かに拳を握り締めた。
 ――柳が浩樹の絵を盗んだ。同時に絆を壊し、浩樹の夢を壊し、自らの未来すら暗く閉ざしたのかも知れない。全ては事実であり、罪だ。
 何度、公表しようと考えたことか。しかし盗作された人間が、そのままデビューして名を馳せるとは限らない。むしろ名前に傷が付くだけかも知れない。スキャンダルには違いなく、日本の美術界は閉鎖的で保守的だ。そんなリスクは犯せない。柳は罪の重さに押しつぶされそうな日々を送りながらも、決して筆は置かなかった。親友から奪った輝かしい日々、それを捨てるなど出来ようものか。それは罪であり、逃げ出したくなる重石であると同時に、唯一無二の親友との間に残された最後の絆でもあった。
 ならば出来ることは一つ、ただ彼の代役として彼の絵を描くのだ。その輝きが、彼自身から放たれるその日まで。
 浩樹とて、漠然とながら自分が絵を描かないことも柳を苦しめていると分かっていた。当てつけなどではなく、むしろ描こうとしたこともあった。親友のため、柳のためにもう一度だけ筆を取ろうと。
 猪突猛進な愛弟子の攻勢により、少しはマトモな精神状態を取り戻した。描けると思った。しかし、描けなかった。どうしても、昔は無限のように思えた意欲が欠片も湧いてこない。もはや理屈ではなく、自分は絵描きとして終わったのだと理解した。
 だから、エリスや霧に絵を描いて欲しいと言われても。たとえ柳が土下座しても。浩樹に絵を描くことは出来ない。それ以外の解決法があるとすれば、それは――。
「ごめん。悪かった。これは昔のことじゃない、今の謝罪についてだ。こんなつもりじゃなかったんだ」
 ――その方法は、もちろん柳とて分かっていた。自力で立ち上がる。無理矢理にでも前を見て、もう一度自分の道を探し出す。
 柳はずっと考えていた。何をすべきか。何をもって決着と言えるのか。むしろ、それだけを考えて絵を描き続けてきた。
 垣間見た光の世界に手を伸ばし、知らず掴んでしまった闇。彷徨い足掻く年月の中、浩樹の傑作を追い続け、それを越えようとしてきた。それ以外に、すべき事を見出せなかった。
 記憶は美化される。自分を諦めた男には尚更だった。あの時の浩樹の絵は、柳の中で『究極の一』として美化され、一歩でも近づこうとした日々は技術を劇的に向上させた。今や誰もが認める柳慎一郎という存在は一人の男の弛まぬ努力の結晶であり、しかし真の意味では何処にも存在しないものだ。
 いくら進んでもゴールが見えない。辿った道は崩れ落ち、もはや戻る事も許されないまま負の連鎖は続いていく。
 柳の心は次第に磨り減っていき、ここ一年はキャンバスの前に立つだけでも多量の薬物に頼るようになっていたが――それでも止めようとはしなかった。
 最初から分かっていたはずだ。絵で失ったなら、絵で取り戻すしかない。不器用で矮小な柳慎一郎という存在には、最初から他の手段など無かったのだ。だから立ち止まるわけにはいかない。もし止まってしまえば、一人のくだらない絵描きがこの世から消えていることだろう。
 浩樹にも、漠然とだがそれらのことが分かっていた。だからこそ、安易に済まそうとした柳の弱さを赦さなかった。
 ここで赦しを得ても何一つ変わらない。柳は闇の底で絵を描き続け、浩樹が絵を描ける様になるわけでもないだろう。柳も免罪符が欲しいわけではなかった。真実、元に戻す事でしか終わらない。
 柳が罪から開放されるための力、浩樹に絵を描かせる力。そんなものがあるとしたら、柳に出来ることがあるとしたら、自分に描ける最高の、本当の絵でしかありえないのだ。エリスの心を、浩樹の絵が取り戻してみせたように。
「全てを、絵にしようと思う。そのための絵を描いている。だから――ただ見て欲しい。桜花展で、僕の絵を」
 決意に満ちた強い眼差しを浩樹に向けながら、柳は凛然と言い放った。
 もう弱さは無い。浩樹に会えて緩んでしまった自分を立て直し、柳はようやく闇の底に在る自分を取り戻したのだ。
 彷徨い歩いた年月、懊悩した日々。その暗く薄汚れた自分の全てを晒し、ただ絵を描く。浩樹のコピーではなく、自分の画風で。
 ここ数ヶ月、その答えを形にするためだけに生きてきたのだ。こんなところで近道に逸れるわけにはいかない。
 今までとは余りに違う絵だ、周囲は驚くだろう。苦労して得た評価は一変するかも知れない。だが、浩樹のためと逃げてきたその道にこそ全てがあるはずなのだ。他の全てを失ってもいい、もう一度本当の自分を取り戻す。その渇望が――本当の思いが、きっと絵に魂を籠める。
「言われなくても見させてもらうさ。お前の発表した作品は、全て見ているからな」
 事も無げに言う浩樹には、真意が伝わっていないように思える。
 今までも同じ気持ちで描いてきた。しかし、今回だけは意味が違うのだ。生で見てもらわなければならない。
 もう仕上げの段階である絵に、何かを付け足すことはないだろう。しかし、あの絵を見れば何かを感じ取ってくれるかも知れない。
 今や柳にとって、一番の願いは贖罪などではなかった。ただ、浩樹の絵をもう一度見たい。彼の心に何かを響かせ、情熱を呼び覚ましてやりたい。それには、あんな駄作でも何かの足しにはなるかも知れないのだ。
 だから柳は、もう一度念を押すように言った。
「実物を見て欲しい。今までのものとは違うんだ。今は、それだけを約束して欲しい」



 柳の必死さに押されるように、ただ頷くしかなかった浩樹。
 夢はそこで途切れ、気付けば自室の天井が視界を埋める。窓に視線を転じると、まだ外は暗かった。
「悪い事ではないはずなんだけどな……」
 どう言い訳しても誤魔化せそうに無い。この頭の重さは、決して寝不足だけが原因ではないだろう。悪夢で目覚めたような夢見の悪さに、浩樹は複雑な感情を覚えた。
 ――エリスを叩き起こすのが日課だとはいえ、それは親代わりとして、兄役として、顧問として、義務感からの事である。基本的に怠け者な浩樹も、朝は可能な限り寝ていたい人種だ。
 それでも、もう一度寝ようという気分になれない。また昨日の事を夢に見るような気がして怖かった。それを認めるのも嫌で、逃げるように寝室を後にする。
 リビングを素通りし、キッチンで冷蔵庫から牛乳を取り出す。コップ一杯飲み干すと、ようやく一息ついた気がした。リビングに戻り、ソファに埋まって昨日の事を思い出す。
 柳に会ったこと自体、喜んでいない自分が確かに居る。もちろん嬉しい気持ちもあるが――それすらも誤魔化しや偽善のように感じられて気持ちが悪かった。
 時計を見るとまだ五時台。目覚ましより早く起きること自体かなり珍しい。それどころか天変地異の前触れだと誰かに言われそうだが――その誰かがあまりに多すぎることに気付き、浩樹は苦笑した。
 思えば、いつの間にやら周囲が随分と賑やかになった。
 大学時代、告白を断って気まずくなった霧から逃げるように東京へ出てきた時も、柳の裏切りによって心身共にやつれていた頃にも、こんな今は想像すら出来なかった。全ては大学卒業後に撫子学園へと赴任し、誰かさんに追いかけられる毎日から始ったのである。
 顧問と生徒の面白おかしいやりとりを目撃した少女作家がネタ探しに付きまとうようになり、エリスが入学してくると早速その少女作家――萩野可奈と仲良くなり、その二人を中心に朋子や菫が加わり、理事長代理が現れ、霧と再会し――もちろん美術部員達は全員可愛い教え子だ。サボってばかりのマイペースに見えて、浩樹にも指導不足を申し訳なく思う心だってある。
 もし彼女との、竹内麻巳との出会いが無かったなら。今もまだ、自分は柳を恨んでいたのだろうか? そこまで考え、浩樹は苦笑した。
 戻れるわけじゃない。戻りたいわけでもない。なら、考えても意味の無いことだ。たとえ進めないとしても、せめて前を向いて立とうと決めたのだから。
「さて。起きてしまったものは仕方が無い。まだ本調子じゃない我が姫君のために、手の込んだ朝食でも作ってやりますかね」
 掌で軽く頬を叩き、それを目覚ましの代わりとすると、浩樹は勢いよく立ち上がってキッチンへと向かった。

























少しでも楽しめたら、押してみてくれると作者が喜びます。





Chapter 6-6へ
目次へ戻る


テーマ:二次創作 - ジャンル:小説・文学

  1. 2008/01/02(水) 01:09:47|
  2. 第六話

メニュー

無料レンタルサーバー

まったり空間
↑↓気軽に押してね♪

FC2Blog Ranking

プロフィール

 管理者:マク
 ご意見・ご要望・ご感想・リンク希望等は拍手か以下のメールフォームにお願いします。

 また、投稿作品を掲載して欲しいという場合にも、こちらのメールフォームにて受け付けます。投稿作品の感想は、各作品のコメント欄を開放しているので、そちらで受け付けます。

名前:
メール:
件名:
本文:

 拍手で長文を送りたい場合はこちらでも可。
 設定で無しに出来ないためこうなっていますが、メールアドレスが描きたくない場合は以下のアドレスを入力して送ってください。
 仮入力アドレス:teki@tou.de

カテゴリー

FC2投票

攻略するとSSが生まれるかも知れない。

無料アクセス解析

二次創作サイト更新情報



リンク

このブログをリンクに追加する

ブログ内検索

RSSリンクの表示